実際働いてみてわかった看護師と保健師での業務の違い

私は20年間ずっと看護師として病院勤務していました。

保健師として仕事をするようになったのはここ1年ほどです。

 

その業務の違いはわかっていたつもりでしたが、働いてみて初めて気づいたこともあると実感してます。

 

病院勤務の看護師

1 患者さんへの直接的なケアが多い

2 マニュアルがある
3 何かあれば医師に報告、医師の指示を仰ぐ、仰ぐことができる

4 患者さんから感謝される

5 看護師の仕事に対するわかりやすさ

 

おもいつくのはこのくらいですが、

まず1について

血圧を測る、脈を測る、注射、採血、清拭など、とにかく患者さんに直接触れてケアをします。相手との距離感はとても近いです。

2について

どこの病院にも必ずといいていいほど、マニュアルが存在します。処置に対するマニュアル、感染対策、転倒予防、接遇などなどとにかくマニュアルが多い。マニュアルに沿って仕事をしていればまず問題はないし、逆に言えばマニュアルから外れたことをすると大変なことになる場合もある。マニュアルがあることはたいへんと捉えるか、私は楽だったと思う。3に通じることといえるが、頼る人がいる、拠り所があるというのは人にとって楽だし、安心だからだ。

3については、先に述べた通りだが、看護師は自分で判断することはもちろん大事だが、最低限これは医師に報告すべきことか様子観察で良いかの判断さえできれば、十分であると思う。

次に4、5について

とにかく看護師は、役割がわかりやすい。

直接的なケアが中心なため、患者さんにも役割みえやすい。そのため、感謝されやすい。

私は、患者さんから頼られたり「ありがとう」と言われることで自分のやりがいを感じることができたし、看護師としての仕事が好きだったんだと思う。それにしてあげたいことをそのまましてあげたり、言葉をかけることができてより身近に人を感じることができていたように思う。

 

保健師保健師としては1年のキャリアしかありませんのでたいしたことは書けません)

1 やっていることがイマイチ一般の人にはわかりにくい

2 利用者さんに「今日は何の用事で来たの?」とよく言われる。

3 名前で呼ばれることが少ない。なかなか名前を覚えてもらえない。

4 スタンドプレーが多い。

5 人に指導する役割を求められたり、対大勢と話さなくてはいけない。

 

まず1について

自分でも保健師とはなんぞやと説明がしにくいほどである。イメージしにくいばかりか、やっていることが結果に直接結びつかないというか、長い目でみる観点が必要というか。教科書的にいうと、予防、というところでの役割が大きいですね。

2について

包括支援センターに勤めて、要支援者の担当でケアプラン作ったり、利用者さんの自宅を訪問したりというケアマネさん的なこともしているのですが、利用者さんは私がどんな役割をしているのかよくわからないみたいです。説明の仕方が悪いのか、、それだけではないような気がするんですけどね。二ヶ月に1度話を聞いて利用表にハンコをついていく人、、みたいな。こちらは介護保険のサービス利用を調整したり、適正な利用のために事業所との間に入っている結構大事な役割を担っているんですが、利用者さんにとっては直接何か私らがしてくれてるっていう意識にはなりにくいと思います。私は保健師になって、人から「ありがとう」と言われることは格段に減りました。感謝されることって単純に嬉しいですし自分のモチベーションも上がるし、自分の存在意義も感じられるんですよね。看護師時代にはわからなかったけど、自分にとっては感謝されることは、働くことへの大きなモチベーションになっていたように思います。人から評価されることによって自分の存在意義を感じていたんですね。

3について

私だけかもしれませんがとにかく名前を覚えてもらえません。笑

利用者さんと次に会うのは二ヶ月後。その間電話はしますが、、距離感はなかなか縮められません。名前を呼んでもらえるようになってやっと関係ができてきたかなって感じです。

4について

これは今の私の職場だけかもしれません。

包括は3職種(主任介護支援専門員、社会福祉士保健師)が協力して仕事をすることが原則になっています。

でも業務量が多い事、またそれぞれが担当する利用者さんを抱えているので、基本的にはひとりで動くことが多いです。もちろん地域の行事などみんなで準備したり参加したりすることもあるし、わからないことがあったら相談にのってもらったりすることもあります。

ただ、自分の担当する利用者さんのことについては基本的に自分が担当するし、他の職員はまったく関知しません。なので、例えば利用者さんのことで電話が来たりしても他の職員では話がまったくわからなかったりするし、急な用事で訪問できなくなっても代わりに誰かが行くなんてことはできない。代わりがきかないので、子供の

体調不良でおやすみしなきゃいけないときはすごく困るわけです。今のところ、主人が休みを取ってくれたりして事なきを得ていますが、それもできないときもありますから。病院時代はこういうことで悩むことはありませんでした。休むことで申し訳ない気持ちにはなりますが、看護師の仕事は、ほかのスタッフでカバーできることがほとんどです。人数は少なくなりますが、ひとり休んだからといってその業務が回らないということはないので精神的には楽でした。

今の仕事についてからは、訪問のアポが入っていたりする日は「頼むから今日は熱出さないでね〜」と子供に祈っています。ひどい親ですね…。自分が約束を守れないことに対してすごく抵抗があるんだと思います。自分自身の問題なのかもしれません。

5について

これも私にとってとても大きな問題となりました。

看護師時代には、まあ1対1が基本でした。患者さんに指導することはあっても、特に緊張したりはなかったです。

包括の保健師は、予防教室の講師であるとか、健康相談とか多くの見知らぬ方との対大勢のコミュニケーションを求められます。それがとてもわたしにとっては難しい。

入職して三ヶ月で適応障害となり、せいしんてきに病んでしまったのはそこが大きかったです。今でも、予防教室の講師は一度もしていませんし、カフェなどの地域の方が大勢参加するような行事は本当に苦手です。

臨機応変とか、テキトーに仕切るとかいうことができない。

保健師にはそういう能力も必要みたいです。

 

結果的に今の仕事に対してわたしはやりがいを見いだせていませんし、このままでいいのかという思いでいます。

上司からは「苦手を苦手のままにしておかないことが大事。長い目でできるようになればいい」と言われています。

ただその長い目っていつまで…。

我慢したり葛藤することが永遠に続くように思えてならないのです。

それから最後にもうひとつ。

保健師の仕事って、なにが正解なのかわかりにくいところがあったり、ゴールが見えないなかで活動しなきゃいけないところがあるように感じます。

そういうのも精神的に辛いと感じる要因なのかもしれません。